骨端線損傷は子供特有の成長軟骨のケガ
骨端線損傷とは子供特有の骨の成長部分の損傷です。
骨端線とは骨の成長を司る部分で、骨端軟骨板や成長軟骨とも呼ばれます。
骨端線(成長軟骨)については前に詳しく記事にしていますので、まだよく理解できていないという方は合わせてそちらもお読みください。
この骨端線の部分は軟骨でできている為、レントゲンにはっきり写りません。
この軟骨が骨になることで骨の長さが成長します。
軟骨であるがゆえに上下の骨の部分と比べると強度が弱い為、しばしば骨端線損傷を起こすことがあります。
目次
骨端線損傷が起こりやすい部位
転んで手をついた時に痛めてしまったというようにケガをする形で起こる骨端線損傷では、手首(橈骨)の骨端線損傷が多く、手の指や足首(脛骨・腓骨)などもしばしば起こります。
・手首の骨端線損傷では、転んで手をついた時に痛めるケースが多く、大人だったら骨折になる所が子供だから骨端線損傷になるというような感じだと思います。
・手の指の骨端線損傷は、ボールが指に当たってしまった時など、突き指の形で起こることが多いです。大人だったら突き指で靭帯損傷や骨折となるところが子供だから、骨端線損傷になってしまうことがあるということだと思います。
・足首の骨端線損傷は、足首の捻挫の形で起こることが多いです。大人だったら、ひどい捻挫、もしくは骨折になる所が子供だから骨端線損傷になってしまうことがあるということです。
骨端線損傷の症状
ケガをする形で起きた骨端線損傷では、直後では基本的には骨折をした時と同様の症状となり、わかりやすい所では腫れ・皮下出血・強い痛みなどが症状として現れます。
ケガをした時に骨折と骨端線損傷を見分けるには、レントゲンを撮る必要がありますので、その際は一度、医療機関を受診してください。
骨端線損傷の治療
骨端線損傷はいわゆる成長軟骨の損傷になるので、適切な治療をしないと、将来、後遺症を残すことがあります。
つまり、その骨の成長だけが止まってしまうということがあります。
骨端線損傷での適切な治療で大事な事は
①正しい位置に整復する
骨端線部で骨が離れてしまって、ズレている場合、元の位置に戻す必要があります。
②固定期間を守る
骨がついて安定するまでしっかり固定しましょう。早期に固定を外して動かし始めることは後遺症を残してしまう可能性があるので注意が必要です。
上記の2つが後遺症を残さないために大事なポイントになりますが、骨端線損傷は損傷の形で後遺症の残りやすさが違うので、場合によっては適切な治療を行っても後遺症が残ってしまうこともあります。
骨端線損傷の後遺症が残りやすい骨折形
骨端線損傷の骨折形は5つに分類されているものがよく使われています。
この2つの型は適切な治療を行えば後遺症を残すことはほとんどありません。
この3つが後遺症を残しやすい型となり、適切な治療を行っても後遺症を残すことが多いと言われています。
骨端線損傷の後遺症
骨端線損傷の後遺症では、骨端線(成長軟骨)の骨の成長が早期に止まって、骨が伸びなくなってしまう成長障害やその成長障害や、骨がズレたままくっついたことで起こる変形、関節部・関節近くの骨折の為の関節機能障害などがあります。
見つけにくい骨端線損傷
子供が手首をケガをしました。
手首周りが少し腫れていて、動かすと痛みがあります。
病院でレントゲンを撮ると目立った異常はないようです。
これはいったいどういうことなのでしょうか?
骨端線損傷では転移(骨がズレる)がないものもあり、その場合は、レントゲンにははっきり写らない為、捻挫などと診断されてしまう場合もあるようです。
もちろん捻挫の場合もありますが、覚えておきたいのは、捻挫とは靭帯を痛めている状態のことを指し、子供の靭帯は丈夫で、骨が柔らかいということです。また、軟骨部はさらに柔らかく、レントゲンに写りにくいということです。
子供の骨の特徴についてはこちら→知ると深まる5つの子供の骨の特徴
骨がズレていないので固定して安静にしておけば、捻挫でも骨端線損傷でも治っていくと思いますが、軽視して動かしてしまうということはやめておいた方がいいでしょう。
骨端線損傷について理解を深めるなら、骨端線そのものの理解を深める必要がありますので、こちらも合わせて読んでみてください。→骨端軟骨板は子供の証?