野球肩(リトルリーガーズショルダー)に多い投球フォーム不良
最近少年の野球肩の施術をする事が多かったので、情報を共有しておこうと思います。
野球肩とは、野球をしている人に起こる肩の痛みの事で投球障害肩や投球肩、子供の場合はリトルリーガーズショルダーと言われたりします。
実際には子供のリトルリーガーズショルダーと大人の野球肩は肩で起きている病態が異なるので注意が必要です。
今回は、子供の野球肩。リトルリーガーズショルダーについてお話したいと思います。
1.リトルリーガーズショルダーとは?
肩の成長軟骨の損傷です。
違うこともありますが、子供で野球が原因の場合の多くはこれになると思います。
この病態を医学的には上腕骨近位骨端線離開といいます。時により骨端線損傷と言ったりもします。
肩の成長軟骨とは下の図のように、子供にしかない骨の軟骨で、リトルリーガーズショルダーでは、この軟骨が離れてしまいます。
2.症状
投球時の痛みが主症状になります。
また、重症度により、肩を動かすだけで痛いこともあります。
肩を押すと痛い。
3.原因
原因は主に2つあります。
1.投球数(いわゆる投げすぎ)
2.投球フォーム不良
多くの場合、このどちらかか、どちらもかが原因になっています。
投球フォームについて詳しくは後述します。
投球数については、投球フォームが良くても、骨がまだ発達途中の子供がたくさん全力投球をすると軟骨を傷めてしまう事があるので注意が必要です全日本軟式野球連盟のガイドラインによると一日70球以下で週に300球以内が望ましいとされています。
4.治療
基本的には投球中止。場合によっては肩の安静。
1ヶ月程度は投球してはいけないと思ってください。
その後、患部の治癒に伴いフォームの改善を行います。
5.注意
リトルリーガーズショルダーは、治る怪我です。しかし、治すためには適切な対応が必要です。
成長軟骨という場所の特性上、変に無理をするとなかなか治らないばかりでなく、成長障害が後遺症として残ってしまう可能性があります。
野球をやりたい気持ち、やらせたい気持ちもわかりますが、後遺症のリスクを理解して、無理せずにきちんと治しましょう。
6.投球フォーム不良について
投球フォームの改善はリトルリーガーズショルダーでは、ほぼ必須です。
投球フォームが悪いまま、頑張って練習してしまって痛めてしまうパターンが多いように感じます。
フォームの改善はキャッチボールから始めてしまうとうまくいきません。まずは、ボールのコントロールよりも身体のコントロールを覚えるのが先です。
順序として
1.フォームを覚える(シャドーピッチング)
2.そのフォームでボールを投げる(壁やネットに向かって)
3.そのフォームでキャッチボールする(軽く投げる感じで)
4.その後、フォームが崩れないように徐々に力を込めて投げるようにしていく
このような感じで、段階的に投球フォームの改善を行なっていきます。あくまでも、フォームを覚えてからボールを投げるという感じです。
また、フォーム不良の原因に筋力不足がある場合は、フォーム改善の前にトレーニングが必要なこともあります。
よくあるフォーム不良
リトルリーガーズショルダーで多いと感じるのは「肩投げ」です。
ボールを投げる時に肘を上手く伸ばせずに、肩の動きで投げてしまう投げ方です。
本来、肘や腰も使って全身で投げる投球動作の大部分を肩で行なってしまうので、肩に強い負担がかかって傷めやすくなります。
傷めにくい投げ方は、ボールリリース時に肘が伸びて、足から手までが流れるように動くフォームになります。
他に意外と多いのが、足の向きが内向きで、体の回旋がうまくいかないパターン。
こちらも結局、肩投げのようになって肩に負担がかかり傷めやすくなります。
これらのフォーム不良は、単にフォームが悪いというだけでなく、その原因に筋力不足があることもあるので、うまく修正できない場合はトレーニングが必要かもしれません。
当院では、フォーム指導から必要なトレーニングまで指導しています。お困りの方はお気軽にご相談ください。