足の親指の付け根が痛いー外反母趾の対処法
外反母趾は、進行する可能性があり、何かの拍子に痛くなります。
前半では分かりやすく要点をまとめたので、パパッと要点だけ知りたいという方は前半を見てください。
後半は根拠や論文、ガイドラインなどの数字を交えて解説していきます。
目次
外反母趾とは
外反母趾とは、足の親指が人差し指側に曲がっている事を言います。
痛くなくても曲がっていれば外反母趾という事になります。
つまり、外反母趾とは、「形」を表す言葉であり、症状の有無は関係ありません。
基準として、20度以上内側に曲がると「外反母趾」と言われます。
外反母趾の特徴
外反母趾の最大の特徴は親指が曲がってしまう事ですが、
それに合わせて、親指の根本が人差し指から離れていきます。その結果、足の横幅が広くなるのも特徴です。これを開張足と言います。
また、曲がった親指の付け根はプクッと腫れることがあり、この腫れを「バニオン」といいます。バニオンは炎症を伴う為、痛みがある事が多いです。
外反母趾の症状
外反母趾では指が曲がっているだけで無症状の事も多くあります。
症状がある時は基本的に「親指の付け根の痛み」が主症状になります。
親指の付け根の痛み、腫れ、歩くと親指の付け根が痛い、靴を履くと親指の付け根が痛い、親指のシビレ、親指を動かしづらいなどです。
しかし、炎症が強い時は何もしてなくてもズキズキする事もあります。
外反母趾の原因
外反母趾の明確な原因は分かっていませんが、原因になる可能性があるものはいくつかあるので、それらを変える事で予防・改善に役立ててください。
ハイヒールなどの先の細い靴
足先の細い靴を履き続ける事は、足をその形に矯正する事に繋がり、外反母趾の原因になります。
靴を履くこと
ハイヒールだけでなく、普通の靴でも足を圧迫する事に繋がり、外反母趾の原因になります。
日本で外反母趾が問題になってきたのは、第二次世界大戦以降と言われています。
それまで、下駄や草履を履いていた人たちが、その頃から靴を履くようになり、外反母趾が見られるようになったと言われています。
遺伝
幼稚園児でも外反母趾が見られる事がある為、遺伝的というか、先天的な外反母趾もあります。
女性ホルモンの影響
外反母趾は女性に多いです。その為、女性ホルモンの影響があるのではないかと考えられていることもあります。現状では女性に多いということは確実ですが、女性ホルモンの明確な因果関係は明らかになっていません。
妊娠出産ではホルモンバランスが変化する為、アメリカでは妊娠したらインソールを作って足の変化に備えるというのが、なかば常識になっているとか。
加齢×体重増加×筋力低下
発症の原因というよりは、悪化させる原因になると考えられる事は以下になります。
加齢による筋肉や関節の脆弱化
体重増加による関節にかかる負荷の増加
筋力低下による関節支持力の低下
これらにより、足のアーチが潰れる事で二次的に外反母趾が酷くなっていくと言う考え方があります。
外反母趾の治療
外反母趾の治療で私がオススメするのは、靴とインソール です。
どの治療法も有効性は示されていますが、やめてしまうと戻ってしまう可能性が高いというのが特徴です。その点、靴とインソール は買ってしまえば、その後続けるのは比較的簡単だと思います。
実際、痛みがあって困っているという段階で、靴やインソールでは不十分の時は、テーピングやサポーターなどを使いますが、最終的には靴やインソール で痛みが出ないようにコントロール出来る事が大事になります。
外反母趾にオススメの靴
靴選びは重要です。下記を参考に買う時は必ず履いてフィット感を確かめるようにしましょう。
つま先に指一本の余裕。形はスクエア
→親指の付け根が当たって痛くなるのを回避します。
また、指が窮屈にならない幅広の靴、幅が広くても土踏まずのあたりがガバガバにならない形やヒモでしっかり締められるものがオススメです。
足先はスクエア型でなくても良いので、あまり尖ってないものを選ぶようにしましょう。
また、予防の段階であれば、鼻緒がついたサンダルや草履もオススメです。
踵がフィットするもの
→踵がガバガバだと踵が内側に倒れやすくなり、扁平足を助長します。履いてみて、踵の左右に指が入るような靴は選ばない方が良いでしょう。踵がしっかりホールドされるような靴がオススメです。
ヒールカウンターが硬いものがオススメで、これが柔らかいと踵グラグラしてしまいます。少し握ったぐらいじゃ曲がらないぐらいの硬さがオススメです。
靴底は少し硬めのものがオススメ
→靴底が柔らかすぎるものは、扁平足で外反母趾の足には負担が強くなります。特に歩く時に親指の付け根が簡単に曲がりすぎると痛みの原因になります。
硬ければ良いという訳ではありませんが、素足感覚のようなペロペロの靴底は痛くなりやすいので注意です。靴を少し曲げてみて曲げづらいと感じるぐらいが良いと思います。履いているうちに柔らかくなっても来るので。
ヒールはできるだけ低いもの
→ヒールは高い程、つま先への圧力が強くなるため、開張足、外反母趾の足には負担が強くなります。
ヒールはできるだけ低くして、できればフラットが良いと思います。
3cmまではインソール の効果が得られると言われているので、日常的に履くなら高くても3cmまでで、インソールを入れて負担を軽減するのがいいと思います。
アーチをサポートするインソール
→外反母趾の場合、縦アーチのサポートに加えて、横アーチのサポートも大事になるので、横アーチのサポートがあるインソール を選びましょう。
ただ、インソールには靴と身体両方に適合する必要があるので、ご自身で適当に選ぶと失敗する事も多いと思います。
当院では、既製のインソール からオリジナルのインソール まで靴と体に合わせて提供していますので、インソールを入れてみたい方はご相談いただければと思います。
外反母趾にオススメのサポーター
外反母趾用のサポーターに効果はあります。
個人差はありますが、主に除痛に対して効果を発揮している研究結果が多いですが、変形矯正に対しても、使っている限りは効果を期待できると思います。
様々なサポーターがありますが、私がオススメするのは、中足部を締められる、親指と人差し指の間にシリコンを入れるようなサポーターです。
ソルボ外反母趾サポーター 固定薄型メッシュタイプ 左右ケアセット (M 23.5~25.0cm)
広がった中足骨を戻す事と、曲がった親指を戻す効果を期待できます。
実際に、足のアーチが回復するという例は少ないようですが、親指の角度は類似のサポーターで効果が発揮されています。
こちらは夜につける事が現実的だと思いますが、邪魔にならなければ日中もつけておく方が効果はあると思います。また、指の間にシリコンを挟むタイプでなくても、生地で引っ張るタイプでも良いと思います。
注意点として、曲がってしまった指を急にを大きく矯正しないように注意してください。20°以上の急な矯正では痛みが悪化するという報告もあります。つけてみて、きつすぎない程度のサポーターを使うようにしましょう。
靴下
外反母趾対策靴下というものがあり、広島大学の研究でこれを履くだけで、効果があるという結果が出ています。こちらの靴下は特殊な構造で、母趾外転筋という土踏まずの辺りにある、親指を内側に引っ張る筋肉にパッドを当てて刺激する事や特殊な縫製等で母趾を矯正する構造になっています。
靴下ですので、履き続けるためには、何足も用意する必要があるので費用が少しかかりますが、興味がある方はこちらもいいかもしれません。
ちなみに、具体的な研究結果があるわけではないですが、外反母趾対策靴下でなくても、普通の靴下よりは5本指ソックスか足袋型の方が外反母趾の方には、少しでも指を使いやすくするために良いと思います。
運動
足の指を開く運動も長期的に行う事で若干の変形矯正効果が認められています。
できる事はやっておきたいという方にはオススメです。
ただ、外反母趾の方は最初、なかなか思うように足の親指を動かせない事が多いので、指を動かす感覚を覚えるまで少し時間がかかるかもしれません。
変形を治したい人にオススメの方法
日頃からのケアは、上記のような様々な方法で痛みを抑える効果が認められています。
しかし、どの方法もやらなくなると効果がなくなってしまうのは前述の通りです。簡単で続けやすい方法を一つお教えしたいと思います。
ポイントは「靴を履いている時」と「靴を履いていない時」で分ける事です。
「履いている時」は自分にあった、外反母趾を悪化させないような靴を用意して、できればインソール を入れて生活します。
「履いていない時」は足の指を広げるサポーターを使用しましょう。もちろん寝る時もつけます。
日中の活動中にサポーターや装具、テーピングなどは見た目や歩きに影響が出てしまうのでとても面倒です。
この方法で除痛の効果と変形矯正効果が認められています。
まとめ
外反母趾は軽症で生活に支障がないと言う人も多いです。現状では、外反母趾を完全に予防する事も完全に治すこともできません。
できるだけ、酷くならないように気をつけていくことが大切で、改善していければそれに越した事はありませんが、そこに固執するよりも、痛くならないようにケアしていく事の方が私は大切だと思います。
インソール や靴は買ってしまえば、履くだけでとても簡単です。足は体を支える重要な部分ですから、長く歩き続けられるように大事にしてあげてください。
そもそも外反母趾とは
足の第一趾基節骨がの第一趾中足骨に対して外反している状態の事を指します。(MTP関節の外転・回内)
外反母趾では同時に
第一中足骨の内反変形
母趾MTP関節部の突出(バニオン)
開張足が特徴として見られます。
しかし、外反母趾の明確な診断基準はなく、母趾MTP関節の外反変形そのものを外反母趾としている事がほとんどです。
また、外反角についても研究者によってばらつきがある為、それらを総合して外反母趾診療ガイドラインでは、母趾外反角が20°以上のものを外反母趾として、以下のように重症度を分けました。
角度による重症度
ガイドラインではこの親指と中足骨の角度が20°以上になると外反母趾と診断するようです。
20〜30°が軽度
30〜40°が中等度
40°以上が重度という分け方になります。
しかしながら、外反母趾の方の中にはこの変形が重度であっても痛みがない人もいれば、20°以下でも痛いという人がいます。つまり、痛みとこの変形の角度は比例しないという事です。
一般的には足の親指の付け根が小指側に曲がっていて、痛みがあれば外反母趾が原因ですねとなる事が多いと思います。
バニオン
外反母趾の親指の付け根は横に出っ張り、赤く腫れる事があります。この出っ張りをバニオンと言います。バニオンは靴などで当たる事が多く、このバニオンが当たって痛いという事が靴選びの際にしばしば発生します。
外反母趾の痛みのタイプ
外反母趾の痛みには3つのタイプがあると青木孝文先生は著書で述べています。
①バニオンの痛み(50%)
②関節周囲の硬さの痛み(40%)
③皮膚神経の痛み(10%)
外反母趾になって足の指が曲がっているから痛いという訳ではなく、指が曲がる事でバニオンが形成されて痛みを出したり、関節周囲の硬さが痛みの原因になるという事です。
外反母趾の原因
外反母趾の原因はひとつではなく、様々なことが原因になり、かつ個別の事案についてもはっきりしない事が多いので、その対処法も確立されていないのが現状です。
しかし、原因となりうる事はいくつも見つかっているので、それらを知る事で、予防や改善に役立てる事ができます。
人は平らなところを歩きすぎている
人は平らなところばかり歩行していると足裏の刺激が不足し、足底反射障害を引き起こし、踏ん張る力が発達しないと唱えている先生がいます。
ハイヒールや先の細い靴の使用が外反母趾の原因となる
特に20~39歳の間に先の細い靴を履いていた女性は50歳以降に外反母趾になるリスクが高いと言われています。
また、3〜7歳の小児では、小さすぎる靴を履いていると外反母趾角が大きかったという報告もあるようです。
また、外反母趾診療ガイドラインでもハイヒールは発症原因となると推奨される評価をされています(GradeB)
足のアーチ構造の崩れが原因となる
これについては、外反母趾の方の足を見ていれば多くの足が扁平足や開張足であることに気がつきます。
私の意見としては、扁平足や開張足が原因というのはあると思っています。外反母趾の特徴に開張足があるとした時に、
母趾が外反して→開張足になるよりは
開張足になって→母趾が外反するの方がイメージしやすいですよね。
また、外反母趾診療ガイドラインでは、扁平足や開張足と関係があるかどうかについては、信頼できる論文がない、または結論が一様ではないとの評価がされています。(GradeI)
体重の増加が原因になる
20代で発症した外反母趾が中年期の体重増加と足の筋力低下によるアーチの低下により症状が憎悪する可能性があるようです。
遺伝など生まれつき外反母趾
足のクリニック表参道の桑原靖先生によると外反母趾になりやすい足の形と機能が遺伝するとのことです。具体的には①親指より人差し指が短い②足の全体のバランス的に中足骨が長い③足の骨を繋ぐ靭帯や筋肉の強さ・柔軟性 が遺伝し、外反母趾になる最大の要因になるとのことです。
また、生まれつきの外反母趾の存在については、外反母趾診療ガイドラインでも強い根拠があると評価されています(GradeA)。
内容はというと、幼稚園児でもまれに外反母趾が発見されていて、イギリスでは外反母趾の46%が20歳未満で症状が出現し、そのうち30%が15歳未満だったとの事です。この事から、外反母趾は幼児期に発症し、二次性徴が起こり、体重が増加する時期に発症しやすく、さらに40歳以降で筋骨格に脆弱性をきたす頃に再度発症しやすい傾向があると論じられています。
ホルモンバランスの乱れが原因
これは外反母趾が女性に多いことから言われている原因であり、実際にホルモンと外反母趾の関係を結論づけた信頼できる論文はないようです。
しかしながら、女性に多い事は事実で、原因になりうるのではないかというのは否めないところです。
研究されている先生の中では、妊娠時に分泌されるリラキシンという骨盤を緩めるホルモンが原因であるとしている先生もいるようで、アメリカでは妊娠したらインソール を作るというのが半ば常識になってるとか。
歩き方が外反母趾の原因になる
これは一様ではないですが、外反母趾の酷い方で特に年配の方はペタペタと歩く印象があります。つまり、小股で後ろで地面を蹴らない歩き方です。これが原因ではないかという説です。
確かにペタペタ歩きは足の筋肉をあまり使わない為、機能低下を起こし、足の障害を起こしやすいので、原因のひとつになるのではないかと考えます。
このような歩き方が原因として、「ゆりかご歩き」というものを提唱している先生の著書によると、外反母趾の痛みで来院された方の97%がゆりかご歩きに変えることで4週間で痛みを軽快させたと書かれています。
靴を履いている事がそもそも原因になる
古来より、屋内でも靴を履く習慣がある欧米では外反母趾のバニオンを始めとした足部の障害に対して治療靴の開発が行われてきました。しかし、日本では靴を履く習慣がなかった為、近年になるまで外反母趾が治療対象となることはありませんでした。
日本で西洋式の靴を履くようになったのは、江戸時代末期から明治初期の頃(約150年前)と言われ、それまでの日本人は草履や下駄などを履いていました。草履や下駄を履いていた頃は外反母趾というのは日本では問題になることがあまりなかったということです。
また、裸足生活者に比べ靴を履いている人に多く発症するというのは外反母趾診療ガイドラインでも論じられており、同じ民族間で裸足生活者と靴生活者が混在している地域で、足を調べたところ、
中国で靴生活者118足、裸足107足中、靴生活者の33%が外反母趾で裸足生活者の2%が外反母趾だったとの事です。
セントヘレナ島では裸足1400足、靴1606足中、靴の男性16%、靴の女性48%が外反母趾であり、裸足の2%が外反母趾だったとの事です。
この事から、明らかに靴は外反母趾の原因になりうるという事がわかり、さらに裸足でも外反母趾は起こり得るという事がわかります。
ところで、皆さんは纏足というものをご存知でしょうか?
纏足とは昔中国で行われていた、幼少期から足に包帯を巻き付け足が大きくならないようにする風習です。昔の中国では足が小さい方が美しいとされていた訳ですね。首長族の首なども同様だと思いますが、人間の体は外的な要因でそれに対応できるように変化していきます。それを考えると靴やハイヒールなどで足先が締め付けられれば、外反母趾になる事は容易に想像することができると思います。
外反母趾の治療法
現在外反母趾の治療には、大きく分けて保存療法(手術しない方法)と観血療法(手術)があります。
靴下
外反母趾対策靴下
広島大学大学院の研究チームが開発した外反母趾対策靴下は着用する事で有意に母趾の角度が減少するとするデータがある。またこの靴下は母趾外転筋の筋活動量を増加させることも示されている。また、これにより足アーチも上昇するのではないかという研究においては、有意な差があるとは言えないとの結果が出ている。
靴
靴を選ぶ際に考慮したい点
バニオンを圧迫しないように先が広く足趾の運動を妨げないもの
ヒールは低めとする
柔らかい素材を使用する(アッパーの部分)
などがガイドラインでは疼痛対策として試してもよいとされている。
その他に、toe-separator付きsemi-regidインソール で疼痛が減少したとの記述があり、足底部の構造は少し硬めの素材の方が疼痛除去の観点からは良いと思われる。
インソール
外反母趾で使用されるインソール は、足アーチをサポートする事を目的としたものが研究では多くみられ、いわゆる縦アーチのサポートと横アーチをサポートする為の中足骨サポートを入れたものが使われているようです。また、それに加えて、母趾と示指を分けるサポート材を入れるものがあるようです。細かい仕様については術者によって違うところが検証を難しくしています。
足底挿板治療(インソール )で開始6ヶ月では手術に匹敵する除痛効果があるとされているが、着用を中止するとその効果は低下してしまうということでした。
その他にも、疼痛部位・破綻しているアーチ構造を考慮した装具を着用することで、外反母趾のほぼ50%以上に除痛効果を期待できるとの報告が多いです。
装具・サポーター
装具には昼用と夜用があり、昼用は歩行に支障がでないようにインソール が使われ、夜用は母趾の角度を矯正する目的のものが使われているようです。
装具療法は軽・中等度のものに対して除痛効果が期待できるが、使用中止後その効果は低下するとされています。
また、変形矯正を目的とした装具では3~7°程度の変形矯正効果を期待できるようです。しかし、装具着用を辞めた後も効果が持続するかどうかについては結論付ける事はできないとのこと。
テーピング
外反母趾のテーピングについてはカサハラ式テーピング法というのが書籍も出ていて、割と有名なのではないかと思います。
方法論としては、装具療法などと同じで母趾を内反させる事とアーチをサポートする事をテーピングで行うものです。靴を履いていない時などでも効果を持続させる事ができるのが利点だと思います。デメリットとしては皮膚侵襲が懸念される事と当事者のテーピング法の習得に不安がある点、装具などに比べると手間がかかる点だと思います。
包帯
外反母趾に対する包帯法は青木孝文先生が提唱している治療法で、主な効果として、
・平均2〜3ヶ月で痛みが楽になる。2週間後ぐらいには何らかの変化を感じる事が多い。
・外反母趾の85%に効果がある。
・ハイヒールが履けるようになる。
・趾の変形が改善する可能性がある。(痛みは減っても変形は残っている事が多いが改善例もある)
方法としては厚めの弾力包帯を第一中足趾関節と第五中足趾関節を引き締めるように巻くというもので。夜寝る時に行うだけでいいが、日中も煩わしくなければ巻いておいても良いというものである。
方法論としては開張足を矯正するもので、開張足が矯正されれば母趾角も減り(少なくても巻いている間は)痛みを緩和する事ができるというもの。
理学療法(歩き方含む)
Hohmann体操
外反母趾の運動療法で特に有名な体操です。若年者で軽中等度の変形に有効。変形矯正効果と除痛効果が得られる。また、高齢者でも除痛効果が十分得られるとのことです。
方法としては両方の母趾に強めのゴムをかけて足の指の力は抜いて外に足を広げることで、母趾を内反させていくというものです。
母趾外転筋筋力増強訓練
母趾外転筋をを認識させて、自力で母趾を外転(内反)させるように動かす訓練。
これの効果については、母趾角との関係についた論文があり、開始後平均6ヶ月後母趾角30°未満の足は平均して13.4°の改善がみられたのに対して、30°以上の例では2.7%に留まったとのことです。
また、母趾外転運動(内反)は外反母趾の約2割程しかできないが、運動指導後6ヶ月後には8割の症例で内反運動ができるようになったとするものもあります。
歩行指導
外反母趾に対する歩き方の指導は「ゆりかご歩き」というものを古屋達司先生が提唱していて。これにより97%が4週で痛みを軽快させていると著書で述べています。
内容としてはペタペタ、ドスドス、ダラダラ歩きが外反母趾の原因であり、踵からつま先にゆりかごが揺れるように体重を移動させる歩き方を身につけることで外反母趾の痛みは改善するというものです。
手術
治療法として手術の選択肢は外反母趾診療ガイドラインでは推奨する(GradeB)とするものがあります。しかし、外反母趾の手術は未だに良い方法が確立されていないのが現状で、GradeBとされる手術でも課題が残るものであると言わざるを得ません。だからこそのGradeBです。
ですので、外反母趾の手術に関しては親指が曲がっているからと安易にするものではなく、痛みの強さと生活にどれぐらい支障が出ているかで決めるべきで、もちろん保存療法も行ったが改善が見られないなどの状況の時に検討するものだと思います。
現状では間違っても、見た目を良くする為に外反母趾の手術を受けるというのはやめておいた方がいいと思います。
参考文献
・外反母趾患者に対する日常生活の実態調査,東京保険科学学会誌
・外反母趾に対する保存療法.装具療法,山口智志
・女性のつらい「外反母趾」がラクになる!専門医が教えるセルフケア PHP.桑原靖
・外反母趾診療ガイドライン2014 南江堂
・外反母趾は「ゆりかご歩き」で治る 古屋達司.マキノ出版
・外反母趾は包帯1本で治せる 青木孝文
・外反母趾対策靴下を着用した際の母趾外転筋の筋活動変化 高井聡志.理学療法の臨床と研究.21
・外反母趾対策靴下が足部アーチ構造に与える影響 高井聡志.理学療法の臨床と研究.20